金継ぎ

暮らし

金継ぎとは割れた器や花器などを漆を使って修復する伝
統的な手法。
物を大切にする心はもちろんですが、割れや欠けの跡を
傷としてネガティブに捉えるのではなく、今までになか
った新しい景色として愛でる。
そんな日本人特有の美学、感性があります。
お気に入りの器が割れてしまってドン底に悲しい気持ち
から、金継ぎによって器が割れる前より素敵なものにな
る感動的な喜びがあります。

九回裏からの逆転満塁ホームランくらいのインパクト。
漆を用いた継ぎは縄文時代からある修復方法です。
本漆を使った金継ぎは、手間や時間はかかりますがコツ
さえわかれば誰でも簡単にできます。
その間じっくり器と向き合って、器を手に入れたときの
こと、使っていた時のこと、あるいは割れた時のことに
思いを馳せながら直している時間も漆とともに器に溶け
込んで、より一層愛しいものとなる気がします。
ひとつ直すと金継ぎの虜になっていました。

♦︎ 金継ぎを始めたのは約10年前
お気に入りの器に限って割れるという皮肉。
作家さんの器などは一点ものだったり、二度と手に入ら
なかったりします。
悔やんでも悔やみきれません。
ですが、金継ぎすればまた使えるようになるのです。
とりあえず、割れた器をいつか直そうと金継ぎキットを
購入しましたが、イメージ湧かなすぎ、ハードルが高す
ぎてずいぶん放置。
結局、金継ぎ教室に通うことにしました。
通い始めて10年、知り合いからお直しをお願いされたり
もしますが、なぜか繕う器が無くならないという不思
議。

粗相が多い我が家のこと、直していくのはゆっくりで割
れor欠けていくのもまあまあで。
直し待ちがどんどん貯まるはめに。
繕うことができても器は丁寧に扱った方がよいのは間違
いないと思われます。

♦︎ 金継ぎする楽しみ
金継ぎをやっていると、なにかアクシデントで器が割れ
てしまったときにも心の余裕がハンパないです。
今では器がわれてもそれほどヘコまず「お、この割れ
方、芸術的でいいね」と心の中でガッツポーズできま
す。

金継ぎは割れた器を全くの元どおり直すことはできませ
んが、逆に融通がきくところが魅力です。
破片がみつからなくたって気にしなくていいんです。
漆でつくってしまえばいいいのです。
欠損した部分をつくったり、全く別の形に変えることも
可能です。割れてなくなった部分を片口のように作りか
えたりアレンジする面白みがあります。
全く別の器の一部だった陶片をいくつか集めて一つの器
にすることもできます。
これは呼継ぎといって、いつかは挑戦したい憧れのスタ
イル。

骨董やさんでヒビや欠けのある器を探す楽しみが増えま
す。陶片などお安く譲ってもらえたりします。
ここ愛知県は古くから窯業が盛んだったので、そのへん
に数百年前の陶片が落ちているところも結構あります。
とってあるお皿や器、どんなふうに直そうかなあと割れ
た欠片を眺めながら妄想を膨らませるのも楽しいひとと
き。

♦︎ 金継ぎ教室をはじめました
器をなおしていくにつれ、人から金継ぎを頼まれたり、
お友だちからやり方を教えてほしいというご要望が増え
てきました。
金継ぎキットを買ったはいいけれど、全然一人でできる
気がしない、という以前の私と全く同じ方もちらほら。
里山の自然を感じながらゆったりのんびり器と向き合う
贅沢な時間。金継ぎで気軽に器を繕い、暮らしを楽しむ
方が増えればいいなあと思っています。

金継ぎ教室, 器の修復のホームページ
https://kintsugi-musuhi.jimdofree.com