お茶摘みと新茶づくり

暮らし

新緑の鮮やかな季節、つまり茶摘みの季節。
里山にはお茶の木がわんさか自生しています。
私も田舎に来るまで知りませんでした。
割とどこでも生えている身近な常緑樹。
うちの庭にも勝手に生えています。
この時期はとりわけ新芽の美しさに目を奪われます。
そして新芽をみると、つい摘みたい衝動にかられます。

お茶の葉をつみながらいつも思い出すご近所さんの話。
その昔、棚田や畑が山の尾根までずーっとつづいいた
頃。野良仕事の合間に生えているお茶の葉をとって火で
炙り、お茶にしてひと息ついていたそうです。
おやつは同じく現地調達の季節のくだもの。
なので山の田んぼや畑には休憩のためにお茶の木や果樹
が植えられたそうです。

なるほど、そういわれたら田んぼにいく道すがら枇杷、
柿、みかん、栗の木があります。
とても懐かしそうに話してくれたのが印象的でした。
昔は楽しみが今よりも少なく暮らしも大変だったと思い
ますが、野良仕事の合間にみんなあつまり談笑するひと
ときは、きっとかけがえのない時間だったのでしょう。
山でお茶の木に出会う度に、そんなドラマを思い浮かべ
ながら新芽をせっせと摘んでいます。

お茶作りは意外とシンプル。
葉っぱを水洗いして蒸し器で蒸します。(蒸しすぎ注
意)蒸したら粗熱をとって手でひたすら揉みます。
そしたらお茶の葉がくっちゃくちゃになってくるので、
頃合いをみはからってフライパンで煎ります。
本当は乾くまで手で揉むそうですが。
まあまあ大変なので煎る、もしくは天日干しします。
乾いたら立派に緑茶!ちょっと感動すら覚えます。

飲んでみるとほんのり甘く爽やかな風味が口の中に広がります。
「あー、まさしくお茶の味だねえ。」
一日二日で飲み切ってしまうほどの量しかできませんが
至福の時間。
お茶って買ってくるものだと思いこんでいただけに、
自分で採ってきてお茶をつくれることに感動。
しかも割と簡単に。
来年も至福の一杯が楽しみです。